「31棟のハウス復興プロジェクト」「31棟のハウス復興プロジェクト」

PROJECT 02|「31棟のハウス復興プロジェクト」

復旧ではなく
より良く、より安全に。
31棟のハウス
復興プロジェクト。

遠藤 慎平

グリーン事業 
宮城サービスセンター
遠藤 慎平 SHINPEI ENDO

Episode.1

前代未聞
水害で倒壊したハウス
31棟の復旧工事

遠藤が任されたのは、渡辺パイプでも類を見ない31棟の大規模ハウスの再構築だった。お客さまは2019年の台風19号による水害で、7割のハウスが全壊、残りの3割も水没等によって大きな被害を受けたベビーリーフ栽培をする農家さま。台風によって増水した川が氾濫してハウスに川の水が流れ込んだ。農業生産法人を設立して1年目のやる気に満ちた若い経営者は、できるだけ早い復興を望んだ。ハウスの復旧には、同法人を招致した自治体の協力も得られた。
とはいえ5200㎡規模のハウス31棟を半年以内に再構築する工事は容易ではない。元々のハウスを施工した業者は東北の気候に合っていないハウスを施工した上に、対応がよくなかったという。
そこで渡辺パイプ宮城サービスセンターに白羽の矢が立った。

遠藤 慎平

Episode.2

再構築と改善
ハウス復興に求められた条件

大規模ハウスの復興は、「元通りのハウスを再構築すればよい」というものではなかった。31棟のハウスを建設するのはもちろんのこと、再び災害が発生したとしても、被害が最小限に抑えられるように配慮された設計が求められた。
現場は昔、水田だった場所で、道路よりも低い位置にあった。大きな災害が起きなくとも、もとより水が集まりやすい土地だ。ハウスの位置を大きく移動することができない以上、設計、施工で問題を解決するしかない。遠藤の腕の見せ所だ。
さらに山が多い宮城ならではの工夫も求められる。山からの吹き下ろしの風が強い宮城では、太い径のパイプを用いるなどの工夫が必要だ。遠藤はそれだけでなくハウスの向きにも着目した。お客さまの元々のハウスは南北建て。農業の世界では南北建てが好ましいとされる。しかしながら、この現場では南北建てハウスでは風の影響が強いと判断して、東西建てに変更することで、風に弱いパイプハウスの弱点を補いたいと提案した。
元通りにするだけではなく、より良く、より安全な環境を構築したいと考える遠藤の強い思いが、現場とお客さまを動かした。

遠藤 慎平

Episode.3

多数の職人にふりかかる
さまざまな課題
将来を見据えた提案で
臨機応変に対応

復興プロジェクトの進行には様々な課題があった。1つ目はハウスの外観だ。31棟のハウスのうち、15棟が横並びだ。つまり15棟のハウスの外観をきちんと揃えなければならない。これが容易なことではなかった。一組の職人たちが施工するのであれば問題はない。しかし、本プロジェクトでは、迅速な復興が求められたため、3組の職人たちが同時に施工を進めなければならないのだ。職人にはそれぞれ癖があり、自由に施工させると完成に大きなばらつきが出てしまう。同じハウスなのに、入り口の高さまで変わってしまうのだ。遠藤はこの問題を解決するために、職人たちと徹底的にコミュニケーションを図った。話を聞くだけでなく、一緒に体を動かして作業に参加したのだ。これにより外観の品質の平準化に成功した。
さらに遠藤の頭を悩ませたのが排水問題だ。先述の通り、現場は水害が発生しやすい地域のため、計画的に排水できる設計が求められる。しかしながらお客さまは、側溝の設置に難色を示した。そこで遠藤は5棟のみ、側溝をつくらずに建築した。すると案の定ハウスの中に水が入ってしまう。その様子を見たお客さまが側溝の重要性を認識し、全員が納得した上で水害に強いハウスの建築に取りかかることができた。ハウスを作るだけでなく、お客さまの未来を見据えた遠藤の粘り強い姿勢によって最適解を得られたのだ。

ハウスが完成して、お客さまから「安心してお任せできました」と声をかけられたとき、遠藤は深い達成感がこみあげたという。

遠藤 慎平

遠藤 慎平遠藤 慎平

Episode.4

温室栽培農業の発展に貢献
宮城県の農業法人さまを
サポートしたい

渡辺パイプの仕事は、引き渡し後に関係がなくなるわけではない。むしろそこからが本番とも言われている。お客さまが渡辺パイプのハウスを使用し、農作物をしっかりと収穫出来て初めて私たちの仕事は形になる。引き渡し後にお客さまから、排水機能を強化したことで土が緩くなって作業がしづらくなったという相談があったため、ベビーリーフを植える場所の変更を提案した上で、土の緩さを改善できる作業方法を提案した。
遠藤が理想とするのは、このようにお客さまと対話を行いながら理想を実現すべく最適な提案ができる営業だ。そのために彼は日々の勉強を欠かさない。メーカーだが、農業資材商社の一面もある渡辺パイプだからこそ、お客さまへ提案できる商材は様々だからだ。遠藤が復興プロジェクトを通じて感じたのは、農家さまと対話しながら進める仕事の醍醐味だ。丁寧に要望をヒアリングして、持ちうる商材、予算の中で希望を叶えていく。それが渡辺パイプだけでなく、宮城県、ひいては日本の農業の活性化と発展に繋がると確かな手応えを感じている。まずは宮城県の農業法人を直接サポートできるプロジェクトを増やすことが遠藤の目標だ。